『警察、カルパッチョ、注意報』の3つのキーワードを使った小説です。
A4用紙一枚程度の分量なのでサクッと読めますよ。
本文
太陽の日差しが差し込む午前7時。
ピンポンパンポーン。
という甲高い機械音が外から聴こえた。
そして、町の至る所に設置してあるスピーカーから放送が始まった。
『おはようございます。本日の注意報をお伝えします。深夜0時まで皆様に注意して頂きたい食べ物はカルパッチョ、カルパッチョ。繰り返します……』
抑揚のない女性の声が淡々と告げていた。
(カルパッチョか……。関係ないな)
制服に着替えながら、彼はそんなことを思った。
毎朝決まった時間に流れる放送。
その詳細は一体何なのかと言うと、この国に住む住人が本日注意(食べてはいけない)しなければならない食べ物を知らせているのだ。
何故こんなふざけた事態になっているのか。
発端は5年前に遡る。
ある日突然国が大々的な会見を始めて、この制度は始まった。
その日に指定されているものを食べてしまうと、罰せられるというのだから意味が分からない。
何故そんなことを? と国民の怒りは爆発したが、強硬突破で実行されている。
そもそも罰せられるとは一体どういうことを指すのか。
どうやって監視しているのか。
などなど、国民に詳しい内容は知らされていない。
しかし彼は、違反するとどうなるのか知っていた。
数週間前の夜のこと。
アパートの隣の部屋に、警察と名乗る者達が怒鳴り込みながら入って行き、住人をどこかに連れ去って行くのを目撃した。
「コロッケを好きな時に食べて何が悪いんだよっ!!」
という怒鳴り声が気になって恐る恐る玄関扉を少し開けてみたら、隣の住人が3人の男達に無理やり黒塗りの車に押し込まれているのを見てしまったのだ。
(きっと牢屋にでも入れられてしまうのだろう)
と彼は思っている。
そんな狂った光景が繰り広げられているのが今のこの国の現状だ。
なんと嘆かわしいのだろう。
そう悲観しつつ彼は朝の支度を終えて部屋を出た。
鍵を閉め、朝日に照らされた世界を歩き始める。
(あぁ、本当はこの世界はこんなにも美しいのに……!)
彼はそんな台詞を心の中で呟いて歩き始めた。
その時、彼の友人が声をかけてきた。
「おう! おはよーー。今日は何を食べちゃいけない妄想してんだ?」


